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【江川紹子】死刑を執行することより、「カルト対策活動」を生涯続けさせることの方が、社会にとっては有益かも


2017/03/20 08:42

news.yahoo.co.jp

22年目の3月20日を迎えた。

あの日に起きた地下鉄サリン事件によって、13人が死亡、6000人以上がサリン中毒となった。中には重症に陥り、今も重篤な後遺症に苦しむ被害者もいる。

中略

死刑囚をカルト対策に活用できないか

しかし、それでいいのだろうか。

地下鉄サリン事件の遺族らは、法務省に対して、死刑囚の面会や執行立ち会いを求めている。遺族代表の高橋シズヱさんは、「死刑が確定した今、何か伝えたいこと、私たちが聞きたいことが裁判とは別にあるんじゃないかと思っています」と言う。

入信した時に20代だった者も、今や40代から50代。弟子たちの多くは教団や教祖から離れ、事件を悔いている。不利なことを言えば刑罰に跳ね返ってくる裁判とは異なる場で、当時を振り返って言うべきことが、彼らにはあるのではないか。

広瀬も、53歳になった。死刑が確定した後に、改めて考えたこともあるだろう。自分自身を冷静に見つめ、若い人たちがカルトから身を守るために協力することが自分の責務と考える彼のような者は、カルト対策のためにもっと活用するべきではないだろうか。

たとえば、カルトに関する研究者やカルト対策を行っている教師から求められれば手紙を出す。拘置所の講堂などで、若い人たちに直接自分の経験を語る。それをビデオ撮影して、各地でのカルト防止教育に役立てる……。そうすれば、オウム事件を知らない人たちが、大学生や社会人になっている今、広瀬のようなカルトで人生を誤った人たちの経験が、教訓として若い世代にも伝わるだろう。

社会と断絶した拘置所の独房で、ただ刑の執行の日を待つだけでなく、そうした活動をさせれば、少しでも社会に贖罪させることも可能なのではないか。さらに言えば、被害者遺族の心情には反するかもしれないが、刑を執行することより、そうした活動を生涯続けさせることの方が、社会にとっては有益かもしれない。

テロリストを作らないために

新宗教は、どこも信者が減少している。その理由を、宗教学者の島田裕己氏はネット検索やSNSの普及だと見る。

「日本の新宗教が信者を増やしたのは、高度成長期に地方から都会に出てきた人を取り込めたことにある。希薄になった人の繋がりを宗教に求めたからだ。しかし、現代の若者は何か困ればスマホがあり、人間関係はSNSで築く。それでは宗教の出る幕がない」(『SAPIO』2月号)

悩みや困り事も、神よりもネットの検索を頼る。とはいえ、広瀬が言うような「生きる意味」に関わる悩みは、ネットやSNSでは容易に回答は得られない。時代が変わっても、「生きる意味」を求める人の心は、変わらないのではないか。とりわけ、人生の選択を前にした若者たちはそうだろう。

もちろん「生きる意味」を宗教に求めるとは限らない。社会の中で、生きがいを見つける人もたくさんいる。そういう人は幸いだ。ただ、そういう人ばかりとは限らない。「生きる意味」や自分の居場所を見つけあぐねて模索するうちに、命のやりとりをするような現場に身を投じる者もいる。

シリアの反政府組織に加わって戦闘に参加し、重傷を負った経験のある鵜澤佳史氏は、その動機を、こう述べている。

「生と死の極限状況に身を置けば、自分の生きる意味が違った視点から見られるかなと」

こうした組織にも、組織にとっての正義があり、真実がある。それが私たちの社会の価値観と対立する時、悲劇が生まれる。

とりわけ、イスラム国(IS)のような組織は、イスラム教をかなり独善的に解釈し、関係者に考える自由を与えないところや行動の極端さなど、相当にカルト性の高い組織である。にもかかわらず、ヨーロッパからやってきて、そうした組織に身を投じる若者がいる。彼らも、彼らなりの「生きる意味」を求め、ISの主張に「真実」や「正義」、リアリティを感じてしまっているのではないだろうか。

「生きる意味」を求めていたはずが、カルト性の高い組織に関わり、人生を台無しにし、テロリズムに走るなどして他者にも被害を及ぼす――そんな人が少しでも減って欲しい。そのためにも、オウムの事件を、変な価値観を持った変な連中がしでかしたとんでもない事件というだけに終わらせず、とりわけ通常では考えられない重大事件に関わった死刑囚たちから、もっと教訓を学ぶ機会が欲しい、と思う。

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