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【京都】「浄土系アイドル」「テクノ法要」に秘められた僧侶たちの想い[10/12]


2018/10/16 23:42

【浄土宗龍岸寺住職】池口龍法さん(38)/浄土系アイドル「てら*ぱるむす」のプロデュースなどで知られる。著書に『お寺に行こう! 坊主が選んだ「寺」の処方箋』(講談社)(撮影/秋山謙一郎)
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 人々を苦しみから救うのが仏さま。宗教から縁遠くなり、漠然とそう考えるぐらいだ。深刻化する「宗教離れ」を食い止めようと、新たな発想で仏教の効用を訴える僧侶たちを紹介する。

*  *  *

 みずからがパフォーマーとして表に立たず、「仕掛け人」としてプロデューサー的に仏と若い世代、そしてシニア層との縁を紡いでいるのが京都の浄土宗龍岸寺住職の池口龍法さん(38)だ。

 2009年のフリーペーパー発刊を手始めに、「念仏フェス」と題したイベント「十夜祭」「超十夜祭」や浄土系アイドル「てら*ぱるむす」の運営まで、つねに現世社会でも注目を浴びる半歩先の活動を手掛けてきた。

「お寺の数はコンビニの2倍といわれています。まずは関心を持ってもらうことが大事です」

 実際、町にはお寺はたくさんある。だがそのほとんどをわたしたちは見過ごしている。だからお寺がどこにあるのか、案外わからない……。そんな実態がそこかしこで見受けられる。

「人間の耳とか目は、興味がないものは聞こえない、見えないものですから」

 日頃から「お寺とのつきあいがない」がために、たとえば身内に不幸があったとき、お坊さんを呼ぶこともできない現状を、池口さんは「文化的損失」だと語る。

「仏教は2500年分のリソースを持つ歴史的な哲学です。向き合えば何かが見えてきます」

 それだけ魅力ある仏教といえども、ここ二十数年来続く著しい「宗教離れ」で、人が寺に集まらないのは、寺側が人々に「来てもらう」ための努力を怠ってきたことも大きいという。

 こうして宗教全般が危機的状況にあるなか、「一緒に仏教というものを考えてみませんか」というコンセプトではじめたのが一連の活動である。その活動は肩ひじ張ったものではなく、若き僧侶による自然体のものだ。

 池口さん曰く、「眺めのいい景色をともに見てくれる道連れを探す」感覚なのだそう。

 いま池口さんの「道連れ」は70代、80代といった、それまでの檀家に加えて、アイドル、アイドルの追っかけ──アイドルヲタクまで多彩な顔触れが集っている。その集まった人たちが化学反応を起こすように、互いにいい刺激を与えあっているとか。

「その人たち皆が寺では仲良く話をしてるんです」

 IT時代にあって、若い世代はSNSにみられるように、「自分が選んだ人」としか話をしない傾向がある。しかし寺で、SNSでは決して縁することのない人とも触れ合う。

「日頃とは違う景色を見ることで、『心の気づき』を与える場所、そしていまという時間に立ち返らせてくれる。お寺とはそんな場所でなければなりません」

 そのお寺が伝える仏教について、池口さんは語った。

「不器用なわたしたちの背中を押してくれるのがお寺という場であり、仏教なのでしょう」

 ファスト宗教とは異なり、個々の末寺は、個人商店よろしく個々の住職の個性が檀家集めを大きく左右する。

 京都大学卒。その後、仏道へ。一見、華麗なるキャリアを誇る池口さん。

 だが、これまでの人生は、一筋縄ではいかなかったという。大学院を中退し、実家の寺を継がず、離婚、そしてシングルファーザーと、思うようにいかない人生の荒波も経験済みだ。

「多くの人にとって、人生ってそんなもんだと思います。償いきれない心の傷を抱えながら、それでも、いま足元にある命の縁をどれだけ生かしていけるかでしょうね……」

 ともすれば世間では僧侶、ひいては仏教に携わる者には、世俗に暮らすわたしたちよりも一段高いところに立った「聖人君子」ぶりを期待するところがある。しかし時代は移ろい、前出の光誉さんも含め、わたしたちの目線に降りてきて一緒に悩み、考えてくれる僧侶が、いま求められているのかもしれない。

 時代を敏感に察知し、10年前からみずからの思うところに従って動いてきた30代の若き僧侶たちの動きに、中堅ともいえる50代僧侶も呼応する。

「参拝者が高齢化し、寺に足を運ばなくなった。一方で若い方は興味が薄い」

AERA 2018.10.12 11:30
dot.asahi.com

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