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【愛知】「あぶないから気を付けて」「注意して」 豊田・伊世賀美隧道 人や物、つないだ難所 漂う風格、今も健在[01/10]


2018/01/10 23:39

路面が雪に覆われた伊世賀美隧道。石造りが優雅な雰囲気を醸し出している=昨年12月29日撮影
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 「あぶないから気を付けて」「注意して」−−。豊田市中心部から車で約40キロ、約1時間余り。同市明川町の国道153号わきに車を止め、伊世賀美隧道(いせがみずいどう)への道を尋ねようと立ち寄った店で、私は何度も注意を受けた。冬の昼下がり、薄曇りの市道を登り始めると、道路は一面の雪だった。路面は一部凍っていて、店主らの忠告の意味が分かった。

 歩いて数十分。隧道(トンネル)が目に入った。トンネル上部に「伊世賀美」と左向きの文字がある。1897(明治30)年完成。延長308メートルと思ったほど長くない。高さ3・3メートル、幅3・2メートルと小ぶりな感じがするが、総花こう岩造りで風格を感じさせ、仕上げの異なる二重アーチを備えるなど、明治期の代表的隧道の一つとして評価されている。

 隧道の向こうに出口の光が見える。雪が吹き込み、ぬかるんだ内部の道を少し歩いてみた。貴重な隧道は、意外にも現代では「心霊スポット」「肝試し」の場所として知られる。1年半ほど前、別の取材で歩いたことがあった。当時はそうしたうわさを知らず、トンネルを歩く催しで照明もない真っ暗な中を歩いたが、特に違和感は覚えなかった。しかし今回は道がぬかるんでいたこともあり、数十メートル歩いただけで退散した。

 隧道の入り口近くに伊勢神峠の掲示があった。峠(標高800メートル)は三河と長野・伊那谷を結ぶ街道の難所で、中馬や善光寺参りの善男善女が歩いた道とある。標高705メートル地点に作られた隧道は物資輸送に欠かせない重要なトンネルとなったが、戦後、自動車の大型化によって1960(昭和35)年には新たに伊勢神トンネル(標高640メートル、延長1245メートル)が造られた。旧道の隧道はほとんど使われなくなり、交通量が激減する中で、「心霊スポット」などのうわさが若者らの間で広まったようだ。

 伊勢神トンネルも大型トラックのすれ違いには苦労している。人から荷馬車、そして車へ−−。交通の難所で新旧のトンネルは街道の変遷を静かに見つめてきた。

 地元の文化に詳しい同市武節町の安藤泰さん(85)は「明治時代の石造りのトンネルは全国でもごくわずか。重機のなかった時代にあれだけのものを造ったのは驚きだ」と文化的価値に感心する。隧道は2000(平成12)年に国の登録文化財に指定され、建築当時の面影を残しながらなお健在だ。【中島幸男】

伊世賀美隧道の年表

1897(明治30)年 完成

1960(昭和35)年 新たに伊勢神トンネル完成

2000(平成12)年 隧道を国の登録文化財に指定

毎日新聞 2018年1月10日 地方版
mainichi.jp

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