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【科学】ハサミムシの羽、「ミウラ折り」を超え人工衛星に応用!? 驚異の折り畳み法を解明


2018/04/15 07:34

 人工衛星に搭載された太陽電池パネルやアンテナなどは、小さく畳んだ状態でロケットで打ち上げ、上空で宇宙飛行士らの助けなしに自動で広げなければならない。これまでよりスムーズな展開が可能で、開いた後の固定も簡単にできる新しい折り畳み方を、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)などのチームがハサミムシの羽をヒントに生み出した。論文は米科学誌サイエンスに掲載された。

 ■日本が元祖

 人工衛星のアンテナなどの折り畳み方として、旧文部省宇宙科学研究所の教授だった三浦公亮さんが考案した「ミウラ折り」が有名だ。平面をまっすぐな縦横の格子で折るのではなく、ジグザグな線に沿って折ることで、折り目が重ならないように小さく畳め、一部を引っ張れば全体が蛇腹のように簡単に伸び縮みするしくみだ。

 宇宙研などが1995年に打ち上げた科学衛星「宇宙実験・観測フリーフライヤ」で技術の有用性が実証された。一部の持ち歩き用の地図などでも採用されている。

 一方、ETHZのチームは欧州などに生息する「ヨーロッパハサミムシ」の羽の機能を調べた。ヨーロッパハサミムシは飛ぶことができ、農業害虫として忌み嫌われている。観察の結果、羽をスムーズに出し入れできることと、飛んでいる最中はしっかりと羽にロックがかかっているという本来なら相反する2つの条件を両立していることを見つけた。

 このハサミムシの羽が持つ機能の理由について調べたところ、羽全体にわたって分布するタンパク質に秘密があった。折り目の内側にレシリンと呼ばれる弾性タンパク質が多く集まっており、これによって、山折りが重なる結合部を一気に谷折り側にカチッと反転させるなどの芸当をなしとげることができる。羽を広げたり、折り畳んだり自由にできる状態と、固定の状態を切り替えるスイッチとして使うのだ。

 ハサミムシは硬い羽の下にしまい込んだ軟らかい羽を広げて飛ぶ。普段は、広げたときの約10分の1のサイズにまで折り畳んでいる。研究チームが、もしもこの弾性タンパク質がなく通常の折り紙であったと仮定し、同じ時間でどれだけ折り畳めるかを実験したところ、3分の1程度にとどまり、弾性タンパク質の役割が大きいことが分かった。

 ■高速で展開しロックできる

 これらの研究成果をもとに、3Dプリンターで、弾性ゴムを結合部に使用したミウラ折りのシートを作製した。状態が切り替わる時間はわずか80ミリ秒で、食中植物のハエトリグサやタヌキモが獲物を捕まえる時間に相当したという。

 またチームでは、この成果を元に、閉じたときにものをつかむことができる「スプリング折り紙グリッパー」を作製。開いたときと、つかんだときそれぞれの状態で固定できることが確かめられた。つかんだ状態では、自分の重さ程度のものを支えることも確認できた。

 チームは、このバネのような機構を従来の「折り紙技術」に加えることで、高速展開やあらかじめプログラム可能な自動ロックなどの機能を導入できるとみている。具体的には、折り畳み式の電子機器やテント、地図、収納機構を持つ荷物などに応用できるとみている。また、宇宙開発の分野で利用すれば、打ち上げのためのロケットのスペースや重量、エネルギーを低減でき、広がったアンテナを固定するための余計な駆動機構や器具が不要になる可能性があるとしている。(科学部 原田成樹)

headlines.yahoo.co.jp

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