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【豪雨】「戻るな!」冷蔵庫の下敷きになって埋もれた消防士の兄が弟に叫ぶ…土砂でつぶれた家から帰らぬ人となった母の姿


2018/07/10 18:05

「お母さんがおらん」「戻るな」−。豪雨が猛威を振るった6日深夜、岡山県井原市西江原町で住宅が土砂に押し流され、この家に住む藤井敦子さん(48)と20代の長男と次男が巻き込まれた。兄が冷蔵庫の下敷きになり救助活動は緊迫。藤井さんが亡くなり、近隣住民は「あんなに善い人がなぜ」と口をそろえた。

 「ドーン、ゴゴゴゴ」。近所の時松康隆さん(43)は午後10時半ごろ、地鳴りのようなごう音に気付いた。川の両岸に住宅が点在する集落。裏山が崩れ、土砂が藤井さん宅になだれ込んだ。

 駆け付けた時松さんが目にしたのは冷蔵庫の下敷きになって動けない長男。目が合った。「救急車を呼んでください!」。差し迫った状況に「なんとしても助けなければ」と急いで119番した。

 自力で脱出していた次男は「お母さんがおらん!」。倒壊した家に戻ろうとしたところ、消防士の長男は埋もれたまま「二次災害が起きるから戻るな」と呼び止めた。「お母さんを信じよう」。兄弟で励まし合った。

 時松さんは、雨に混じって長男の顔へ流れ込んでくる泥を拭い続け、次男と「お母さん」「藤井さん」と必死に呼び続けた。到着した救急隊員がチェーンソーで冷蔵庫を切断し、長男を救出。だが、藤井さんは翌7日に土砂の中から見つかり、帰らぬ人となった。

 大阪府出身の藤井さんは約20年前、夫の地元の井原市に移り住んだ。「明るくて面倒見のいいリーダー」と地域で親しまれた。夏は息子たちの友人を招いて自宅でバーベキュー。「遠慮せんと食べ」と気さくに得意の料理を振る舞った。

 家族ぐるみの付き合いだった近所の仕田原和恵さん(50)は「うちの息子は小さい頃、私が知らないことまで相談していた。地域の子どもみんなをかわいがってくれた」と声を落とした。

 現場を訪れた藤井さんの父山村哲也さん(81)は「兄弟は軽いけがだけで助かった。子ども思いのあの子が守ったんだと思う。みんなに愛され、幸せだったに違いない」と押しつぶされた家を見つめた。

2018.7.9 21:39
産経WEST
www.sankei.com

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